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「にほーん!!あそぼ?」
ひょっこり襖からイタリアが顔を出す。その光景は珍しい事ではなく、たびたび暇があるとイタリアは日本のもとに遊びに来ていた。
突然の訪問にもう慣れてしまった日本も、イタリアを部屋へと招きいれ、お茶を出す。こんな物しか出せないと茶菓子までつけて・・・。
「何してたの?」
「着物が汚れてしまったので、洗濯していたんですよ」
「ふーん」
竿竹にかかった着物から水がパタパタと落ちる。その光景をしばらく眺めていたが、不意に日本を抱きしめ、そのまま畳へと押し倒す。
「また、着物が汚れちゃうね?」
「あなたは、子供のふりをした悪魔に見えますよ?」
これから起こる行為を予測していたように、日本は言い放つ。
イタリアはクスッと笑い、日本を見下ろした。
「だって、子供みたいにはしゃげばみんな優しくしてくれるよ?」
「あなたはロシアさんより性質が悪い」
「性質悪い?幻滅した?」
無邪気な子供のようにイタリアは笑う。
「いえ。」
歪んでいる。日本はそう思いながらも、イタリアを遠ざける事ができない。それが彼の最大の武器であり脅威。
「ねぇ、遊ぼう・・・鬼ごっこがいいや」
日本を解放するわけでもなく、身体を押さえつけられたまま、イタリアは言った。
「俺が鬼で、日本の心を捕まえてあげる」

純粋だと思っていた。誰からも可愛がられ、甘やかされ手のかかる弟のようだと日本は思っていた。
そのまやかしにまんまと日本は落ちていった。
「まるで口説き文句ですね」
「うん。そうだね。だって俺、日本好きだもん」
計算で動いているわけではない。だからこそ遠ざける事ができない。気付かないうちにだんだんと麻痺をしていく。
「本当に、性質が悪い」
「ゲームスタートだよ?日本」
天井を見つめ、日本は思った。
抱く事をゲーム感覚で楽しむなんて、なんて残酷な子供なんだと。
だが、本当に恐ろしいのは、今のこの現状を素直に受け入れている自分だ。
組み敷かれ、犯される恐怖さえ感じない自分。
最初は驚きはしたものの、抵抗する事はなかった。この笑顔が、自分を縛りつける。

まるで麻薬のように・・・。

これから起こる快楽と、その後襲うであろう依存。
「日本。心まで奪ってあげる・・・。だから、いっぱい感じてね?」
突き上げる重みを肌で感じながら、日本は一粒の涙を零した。
落ちていく自分に歯止めをかけることもできず、ズルズルと溺れていく。



ほら・・・・捕まえた。