「この同盟は・・・いつまで続くんだろうな・・・」
ふと、つぶやいた言葉に、私は固まってしまった。
「イギリスさん」
「日本は・・・俺がいなくなったら寂しいか?」
「私は・・・」
「困った顔すんなよ」
優しく触れられた頬が熱くて、少しだけ泣きたくなった。
あなたはきっと行ってしまうだろう。その日は明日か、それとも100年先か・・・。
あなたを引きとめる権利なんて、私にはない。
「少し悪戯が過ぎたか?日本」
知ってる・・・知ってるから。
「勝手にしてください。・・・人の気も知らないで」
「悪かった。でも、もし俺が出ていく事になったら、これ貰っていくから」
ふっと、私の唇にあの人の指が触れる。高揚する私をあの人は少し目を細めて見ていた。
あの時は・・・胸の高鳴りだけが先走り、不安さえ消してくれた・・・・。
満ち足りた日常のほとんどが、あなただったなんて・・・。それを知ったのはずっと先の事。
幸せな午後だった。あなたと過ごすこの時が、何故か輝いて見えた。
そして、その時は近く訪れる事になる。
「ごめん・・・・・日本」
刹那に交わされたくちづけを残して、あなたは出て行った・・・。
あの日、あなたが言った言葉通り、私の唇に触れて行ってしまった。
閉まる音と共に、私は崩れ落ちた。
こんなに泣くなんて思わなかった。
声を上げて、泣いた事なんてないのに・・・。
イギリスさん・・・イギリスさん・・・イギリスさん・・・・・・・。
イギリスさん
緊張状態の中、私とあなたは敵となり、闘わなくてはいけないのか・・・。
この家のどこにもあなたがいない・・・。
私は・・・こんなに弱かっただろうか。
同盟前はあんなに気丈に振舞っていたではないか。精一杯我慢をして、抑えてきたあの頃に戻るだけだ・・・・。
戻るだけなのに。
こんなに私・・・・。
あなたがいないとからっぽになる。
全部がからっぽになって、とても寒い・・・。
助けて。
あなたが居ないと…寂しくて死んでしまう・・・。