ふと、あなたを遠く感じることがある
私を通り越して、遠くを見つめているような
それでも…それでも私は・・・
イギリスさんと同盟を結び、それ以後、何かと交流も多くなった。気がつけば100年以上にもなる。
今日も家にお泊まりをしてくれるそうで、大量の薔薇の花を持って遊びに来てくれた。
「これ、日本のドラマか?」
「ええ。そうですよ」
夕食後のまったりとした時間。イギリスさんは興味深そうにテレビに釘づけになっていた。
見ているのはドラマの再放送。
一人の男の裏切りで全てが狂ってしまう殺人ドラマ。
視聴率が良かったのか、近々続編が放映されると雑誌に書いてあった。
「どろどろしたドラマですから、イギリスさん向きではないと思いますよ」
「まぁ、つまらなかったら回すから」
「はぁ・・・」
しばらくイギリスさんとの会話はなく、テレビの音だけが部屋に響く。
裏切りによる絶望。そして殺意・・・。人間の裏の部分がうまく描けていると思う。
「なぁ。俺がお前達を裏切ったら…どうする?」
いきなりの問いかけ。
「裏切る予定でも?」
「たとえ話だから、さらっと流してくれ」
「そうですね・・・。悲しくなります」
「だよなぁ。殺したくなるくらい・・・」
殺したくなるほど・・・?
「いえ」
「??」
「殺せません。だって、あなたは裏切りませんから」
絶対に・・・
「すげぇ自身…どうしてそう思うんだ?」
「たとえ裏切ったと思える事をしたとしても、あなたはその何倍も苦しんでいるはず。そして必ず、裏切らなければならない理由がある…。それは貴方自身ではなく、私自身の…」
「日本?」
「私は、あなたを信じていますから」
あなたが私を裏切ったとしても、それはきっと裏切りではないということを・・・。
私が間違っていたとしても・・・。
「敵わねぇなぁー」
たとえ、私1人になったとしても。
「なぁ・・・」
「何ですか?」
「・・・側に・・・行ってもいいか?」
「・・・はい・・・」
近くに、イギリスさんを感じる。手の届く所に、今はいてくれる。
でも
「貴方の瞳は、何を映しているんでしょうね・・・」
「ん?何か言ったか?」
「いいえ・・・」
とても、とても澄んだ瞳になる。
その時の貴方は
とても、とても遠くを見ている・・・・・
裏切り、憎しみ、そして死・・・
全ての荒波にもまれて、濁った瞳
でも、本当は純粋で、澄んだ瞳を奥に隠しているから・・・
その瞳の中に
いつか私を映して欲しい。
あなたの奥に隠れた
純粋な光に・・・