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「いい加減起きなよ」

揺らしてみて完全に気を失っている事がわかった。
当たり前か…。
相当痛め付けたから少しの事では起き上がる事が出来ないのは当然だな。
君の目を隠し、手と足の自由を奪った。
こんな事をする俺に幻滅しただろうか。

君をこんな形で傷つける事になるなんて思ってなかった。抵抗し、抗う君を宥めて懐柔させる方法なんていくらでもあったはずなのに…。

君のせいだ。

君が俺じゃなくアーサーの名前を呼ぶから…。 君が全て悪いんだ。
だから力ずくで手に入れようとした。それでも君はまだアーサーの名を呼ぶ。差し出す手は全てアーサーに向けて。

壊してやりたい。

その瞬間、俺は何かがはじけたような気がしたんだ。

簡単な事だよ。ゼロに戻せばいいんだろ?アーサーの事を忘れさせて、俺と初めて会った日に戻せばいい。
泣いても叫んでも、俺は君に容赦はしない。何もかも諦めてしまえばいいんだ。そして、俺だけに縋ればいい。

罪悪感なんて忘れた。
今度はちゃんと面倒をみてあげる。優しく、甘やかして、でも鎖で繋いでおくんだ。 アーサーの名前を呼んでもいいよ。
その言葉に心が入っていないなら何度呼んでもかまわない。


「 アーサー…さ…」

君の心がアーサーに向いているかぎり、俺は君を離したりしない。
傷つき、俺の所に落ちていくまで何度も何度も囁くよ。

君が好きだって・・・・。