衝動

初めての時は、布がこすれあう音すら敏感に反応していた。
全てが私を刺激し、それを新鮮とさえ感じた。


「すごいな、菊・・・感度良好ってやつかい?」
「っ・・・あなたがそうさせて・・・」
その刺激は、肌を何度も重ね合わせた今でさえ、この行為に慣れる事はない。
「力抜いて・・・いくぞ」
「んぁっあ!!」
熱い吐息と共にくる衝動が、私に微量の電気を通す。ピリッとした痛み、深く探られ、自分の中を犯されていく。
乱れた息、規則正しいその動きに合わせるように自然と腰が浮く。
「何を、考えているんだい?」
「はっ・・あぁ」
答えなんて聞かなくてもあなたは知っているでしょう?
「聞かせて」
趣味が悪い。
「あっ・・・なた以外に・・・何があると・・・」
「上出来だよ・・・菊」
この快楽全て、あなたが私に教えた事。
あなた以外考えられなくさせたのも、あなた自身の手で私を変えた結果だ。
「ねぇ、どうして欲しい?」
碧眼の瞳に私の姿が映る。
どうして欲しい?
「私を・・・めちゃくちゃにしてください」
「・・・本当に、今日は大胆だね」
「さっきも言ったでしょう?あなたがそうさせているんですよ」
「うん。知ってる」
最初からこうなる事をあなたはきっと知っていたんでしょうね。
優しくて強引なその手に憧れた。
そして、今はその手に抱かれているのだ。
「好きですよ。アルフレッド…」
「俺も、君を愛しているよ」
もっと、もっと深く落ちていきたい。何も考えられなくなるくらい私を犯して欲しい。
「君だけだ・・・君だけをずっと・・・」

もっと強く・・・激しい衝動が欲しい。

「もっとください・・・もっと・・欲しい」

この時だけは、あなたの事を考えていたい。
時間がくれば、何もなかったかのように振舞わなければならないのならせめて、この時だけは恋人同士だと思っていたい。

知らないでしょう?変わったのは身体だけではない。心もですよ。
あなたが知っている以上に私はあなたの事が好きなようです。
けれど、それを言ったらあなたが喜んでしまうからまだ言わないでおこう。
余裕がないあなたを見るのも、結構楽しいですから。

だから、もっと与えてください。

あなたの熱い衝動を・・・・。