某月某日。晴れ。
薄暗がりの狭い空間に日本は膝を抱えていた。周囲に気をくばりつつ、安全確保を確認しながらほっとため息をつく。
「日本?何してるんだ?」
「うわ!!びっくりした。アメリカさんですか・・・」
「引きこもりごっこかい?」
「かくれんぼです!!今イタリア君とドイツさんが遊びに来てるんです」
「俺も来てあげたぞ!!」
「はぁ・・・。いや、あの、かくれんぼですから、見つかっちゃいけないんです」
「俺もい~れ~て☆」
「・・・それじゃあ一緒に隠れましょ」
「ここにかい?」
「今、イタリア君が探してる最中なんですよ。それにアメリカさんが来た事二人は知りませんし、見つかるなら一緒の方が後で色々面倒じゃなくて良いですから」
「わかったぞ!!それじゃあ、ちょっとつめてくれ!!」
「あっ、はい・・・」
日本がわずかなスペースにアメリカを入れる。目を輝かせながらアメリカは日本の隣に座った。
「狭いぞ・・・」
だんだんと窮屈な空間に飽きたのか、不満を洩らした。その顔を見ながら、やっぱりと日本はため息をつく。
「仕方ないですよ。1人でちょうど良いスペースなんですから」
「そうだなぁー。日本ちょっと来て」
「何ですか?」
手を引かれ、すっぽりとアメリカの腕に収まる。いきなりの出来事に日本は目を大きく開いた。
「ちょっ!?アメリカさん?!」
「元は1人分のスペースなんだろ?それなら、こうやって抱き合えばいいんだぞ?」
「良くないですよ!!こんな所見つかったら」
「見つからないよ。俺が隠してあげるから」
「あなたが見つかってもアウトなんですよ」
「シッ!黙って…」
「んぐ…」
アメリカは何のためらいもなく、日本の唇を塞ぐ。少しずつ近づく足音と共に、二人の会話も聞こえてきた。
「日本ってば隠れるのうまいよー」
「うむ…中々見つからないもんだな」
「ドイツはすぐ見つかったもんねー。カラダ半分出てたし」
「悪かったな」
声が次第に遠ざる。二人が遠くなった事を確認し、ゆっくり唇を離した。
「フー!!危なかったぞ!!」
「なっ・・・なっ!!!!!!!」
「どうした?!」
「何するんですかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「シー!!!日本!!シー!!!」
「せせせせ接吻!!接吻!?セクハラ!!!!」
「酷いな。いつもしてるだろ?」
「こここ・・こんなところで・・・しかもし、した・・したぁぁぁ!!!」
「恋人チューだぞ☆」
「馬鹿ですかあなた!!!」
「日本の照れ屋~」
「な、殴りますよ!!」
「いいよ?そしたらいっぱいキスするから」
「ひぃぃぃ!!!」
たまらなく、逃げ出そうとした日本を捕まえるアメリカ。うれしそうにじゃれ合うアメリカに必死で抵抗するが、日本がアメリカの力に叶うはずもない。
「日本みーっけ♪」
「あ・・・」
ギャーギャーと揉めている声を聞きつけ、イタリアが駆け寄ってきた。うれしそうに“ヴェー”っと叫ぶと、日本に抱きつく。
「アメリカも一緒だったのか?」
「ハロー☆」
「は・・・こっこれは・・・」
「日本・・・しー」
「・・・言える訳ないでしょ・・・もう・・・」
「どうしたんだい?日本?」
「なっ!!何でもないです!!!」
「そんな力いっぱい言わなくてもいいだろう・・・」
「それより、お茶にでもしましょうか。和菓子用意してありますし」
「わぁい!!!俺ちょうど小腹空いてたんだよね」
「イタリア・・・お前いつもだろ?」
「早く行こう!!お茶が冷めちゃうよ!!」
「ちょっ!!イタリアお前はしゃぐな!!転ぶぞ!!」
嬉しそうに走り出すイタリアを追いかけるドイツ。どんどん距離が離れ、声も届かない位置まで2人は離れてしまった。
「良い子良い子」
「やめてくださいよ・・・まったく」
残ったアメリカと日本。嬉しそうに頭を撫でるアメリカの手を迷惑そうに振り払った。
「悪かったよ。ちょっとびっくりさせたかったんだ。何せ君と会うのは久しぶりだからね」
日本もアメリカも中々予定が合わず、すれ違っていた事は確かだった。しかも今回はその期間が長く、アメリカの声は電話越しに聞いていても、実際会うのは久しぶりの事。お互い本当に久しぶりの再開になる。
「ホント仕方のない人ですね。・・・あなたの分の和菓子も用意してありますから・・・早く行きますよ」
「あれ?俺、日本に遊びに行くって言ってた?驚かせようと思って来たんだけど・・・」
不思議と首を傾げるアメリカに、日本は顔を赤くした。
「何でもいいでしょう!!お茶が冷めますから早くしてください!!」
「はいはい。せっかちだなぁー日本は」
すたすたと歩き出す日本を苦笑しながら追いかける。
アメリカの嬉しそうな顔に少し赤みがかっていたのは秘密と言う事で・・・。
その頃、イタリアとドイツは・・・。
「あー。今日アメリカいるからお菓子多く食べれない・・・」
「お前、いつも遠慮がないんだよ」
「だって!!毎回一つ多いんだもん!!俺のためにあるんでしょ?」
「・・・・幸せだな・・・お前って・・・」