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いつも僕は忘れられる。

アメリカが目立ってるから僕が目立たないんだ。

小さい頃からそう。イギリスさんもアメリカが優先で僕は二番目。

もう、慣れてしまったが、本音はまだ寂しかったりするんだ。

でも、ないしょ。

のびのびと暮らしている。どこより平和に…それでいいじゃないか。

「・・・ださん」

みんなが僕の名前さえ忘れてしまっても。

「カナダさん!!」

この国が平和なら

「カナダさん!!」

「へ?!」

僕の顔を覗き込んだのは日本さんだった。

「皆さん次の会場に向かわれましたよ?」

「あれ?」

いつの間にか皆いない。そういえば、会議の後お茶会って言ってたような…。

「どうしたんですか?」

そっか。もう終わってたんだ・・・。

「いや、僕・・・」

ぽつんと一人で残されるのはいつもの事で・・・でもどうして日本さんがここにいるのかわからない。

「さぁ、カナダさん。行きましょう」

あれ?僕の名前

「えっ?えっ?僕の事、ちゃんと見てくれるのかい?」

「何度も忘れたりしませんよ」

「あっ?え・・・と」

差し出された手に戸惑う。

「もう。行きますよ!!」

無理やり引っ張られて、会場の門を二人でくぐる。優しくて少し強引な君。

何か、嬉しいな。

一人じゃなくて、今は二人。

「は、ははは」

「どうしたんですか?」

「君、すごいね。天才だ」

「は?」

笑顔にする天才。

皆が君を好きな理由がわかるよ。

僕も、君が好きだ。

 

 

「ねぇ、日本さん」

「何ですか?」

「もう一度、もう一度だけ僕の名前を言ってください?」

 

僕がここにいるって、君の口で証明してみせて?